「お話を退屈にしないためには、コップ一杯の水でもいいから登場人物に〝何か〟を欲しがらせろ」という格言はガチ。映画やマンガや小説で「退屈だな」と感じるのは、登場人物たちが何を欲しがっているのかよく分からないシーンを見せられているとき。淡々とした解説シーンにありがち。
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
ドラマとは〝葛藤〟である。そして葛藤とは、登場人物それぞれの〝求めるもの〟が違うからこそ生じる。この登場人物は、人間に限らない。『ジュラシック・パーク』の恐竜や『ツイスター』の竜巻は人間を食べたいと望み、人間たちは生き延びたいと望む。そこに葛藤が生まれる。
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
たとえばあなたが刑事ドラマを書いていたとする。「死体の状況」の解説シーンを書かなければならないとする。しかし、ただ情報を羅列しただけでは高確率で退屈なシーンになってしまう。では、どうすればいいか?
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
たとえば、シーンの開始時点で主人公の刑事のケータイを震えさせればいい。娘の通う高校からの電話だ。当然、主人公は電話に出ようとするだろう。主人公が「通話」ボタンを押そうとした瞬間、同僚が話しかけてくるわけだ。「こないだのホトケなんだが、ちょっと気になる事実が判明したんだ…」
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
主人公は電話に出たいと望み、同僚はホトケの状況を伝えたいと望む。ここに葛藤が生まれ、ドラマが生まれる。「主人公は電話を取れるのか?」という興味に引きずられて、死体の状況の解説を退屈せずに見ることができる。
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
こういうテクニックを「無理やり葛藤」と呼ぶ。
〝無理やり葛藤〟の実例で「これは上手い!」と唸ったのは、『ジョン・ウィック』のヴィゴがヨセフを説教するシーンだ。脚本的には、このシーンは主人公ジョンの過去を明かす〝解説シーン〟になっている。普通に情報を羅列しただけでは退屈になるはずだが、『ジョン・ウィック』の脚本は巧みだ。
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
ドラ息子のヨセフは、自分の行為に自信を持っている。できれば父親から褒められたいと望んでいる。一方、ヴィゴはドラ息子に、自分のしでかしたことの深刻さに気づいて欲しいと望んでいる。これだけでも登場人物たちの欲求にズレがあり、葛藤がある。『ジョン・ウィック』の脚本が上手いのはここからだ
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
脚本家デレク・コルスタットは、このシーンにロシアンマフィアの幹部アヴィを同席させている。マフィアのボスの親子喧嘩など、手下からしたら絶対に見たくないものだろう。親と子のどちら側につくのか問われるし、同席して良いことなど一つもない。アヴィは一貫して部屋を出たがる。
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
ポイントは、プロット的にはこのシーンにアヴィが同席している必要がないということだ。親子喧嘩という葛藤の上に、さらに「部屋を出たがるアヴィVSそれを許さないヴィゴ」という葛藤を重ねている。その結果、単純な解説シーンが、目を離せない緊張感たっぷりのシーンになっている。
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
ついでに言えば、アヴィはこのシーンにおける〝モラルセンター〟になっている(と俺は思う)。観客に近い倫理観を持ち、観客が物語に感情移入するための受け皿になる役割だ。このシーンのアヴィは〝観客と一緒になって〟、ヴィゴとヨセフの親子喧嘩を眺めている。
— Rootport 𝄇 (@rootport) April 29, 2022
「閃光のハサウェイ」でハサウェイが「各場面で飲み物を飲もうとするが他の人との会話等で事あるごとに飲めない」ってのを思い出しましたw
— 海鮮どんたいむ (@seafoodbowltime) April 30, 2022
哲学的な――はっきり言って退屈な長回しのシーンの添え物にカップ麺は最適。
— NutsIn先任曹長 (@McpoNutsin) April 29, 2022
苦行は麵ができるまでだと分かるから。
例としてジャンプ漫画だとそう云う所謂マクガフィンってのを小出しして進んでいく作品が多く見られますよね。
— アクター (@Acter_nemui) April 30, 2022
登場人物の感情が動くシーンがあると、画が保つってことですかね。
— ペラペラカメレオン (@ZOAef15jMggCu4v) April 30, 2022
逆に言えば、動きのないシーンでも、登場人物の感情がわかる要素があれば退屈しないということでしょうか。
オタクニュース
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